電力会社、AIデータセンターの負荷計画にAIを活用

AIによる電力需要を最も心配している業界が、今やその対応にAI自体を使っています。Utility Diveは10月22日、データセンターからの接続申請が積み上がる中、電力会社が系統計画や保守にAIツールを導入していると報じました。ただし多くは技術者を支援する限定的なツールで、物理的な設備を制御するシステムではありません。

すでに使われている場面

記事で最も分かりやすい例はPortland General Electricです。需要を1時間単位でモデル化して空き容量を探すGridCAREと組み、データセンター接続に予定より何年も早く提供できる80 MW超の容量を見つけたと、GridCAREは説明しています。ほかに挙げられた用途は、負荷予測、植生管理、文書検索、異常検知、業務フローの自動化です。

National Gridのベンチャー部門であるNational Grid Partnersが米国、英国、欧州の電力会社を対象に行った調査は、Utility Diveによれば、この傾向を次の数字で示しています。

  • 経営層の約80 %が、大口需要家の計画向けAIアプリケーションを少なくとも1つ本格導入したと回答しました。
  • 87 %が、時代遅れの規制や料金審査の枠組みがAIやイノベーション投資の回収を妨げていると回答しました。
  • 83 %が、AIデータセンター向けインフラの建設コストが電気料金を通じて家庭の需要家に転嫁されていると回答しました。

同じ調査によると、最も採用が難しい職種は、AIにも通じた業務の専門家、データエンジニア、機械学習エンジニアです。

なぜモデルにスイッチを任せないのか

取材に応じた人々は慎重でした。National Grid Partnersの暫定社長Pradeep Tagare氏は、成功しているのは単一の機能向けに作られたツールであり、物理的な設備に働きかけるエージェント型AIはまだ広く導入されていないと述べました。ほかにも、多くのデモは管理された条件でしか機能しないこと、ほとんどの電力会社はAIシステムが何を読み、なぜそう判断したのかを再現できないこと、そして社内の記録が現場に実際に設置されているものと食い違うことが多く、その上に自動化を重ねても誤りを速く繰り返すだけだという警告が出ました。

規制当局も問いを投げ始めています。ニューヨーク州は電力会社にAI利用の一覧の提出を求め、コネチカット州の司法長官と消費者代表は10月13日に同様の調査を申し立てました。また、今年のサイバーセキュリティ監査に関するFERCスタッフの報告書は、AIツールの利用拡大と、それに伴うアクセス管理のリスクを指摘しています。

回答は早くなっても、許認可は同じ

データセンター開発者にとって、電力会社側の予測精度が上がれば、あらゆるプロジェクトの最初の問い、つまり「どれだけの電力を、いつ」に対して、より早く正直な回答が得られるかもしれません。それ以外は変わりません。系統が当初は負荷の一部しか供給できない場合、その差は仮設電源やオンサイト発電で埋めることが多く、非常用発電設備には、電力会社のソフトウェアがどれほど賢くなっても、排出許可、燃料計画、試験計画が引き続き必要です。

また、予測は入力される負荷の数字以上に正確にはなりません。待ち行列の順番を確保するために過大な申請を出す開発者は、計画ツールの有用性を全員にとって下げることになり、自分のプロジェクトも例外ではありません。

出典:Utility Dive, National Grid Partners

その他のニュース